韓国の大学で講義をすることは多いですが、今日は珍しく夜間に通う学生たちに講義をし、質疑応答を通して楽しく対話を交わす時間がありました。
彼らの多くは、昼間は働いて夜の間に勉強している、頑張り屋の苦学生だったりするわけですが、とても純粋でよい印象だったので、学生の一人が撮ってくれていた写真と共にご紹介しようかと思います。
働きながら勉強するなんて、年齢が高い人が多いのかと思っていたら、みんなまったく同じ年代の大学生たちでした。質問してきたのは女の子が多かったですが、話し方や質問の内容が、皆とてもかわいかったです。
ということで、韓国の学生たちが日本に対して、「こんな疑問を持つのか」という参考になると思いますが、私の回答と含めて、いくつかご紹介してみます。
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質問:「日本では、友人になれば年の差があってもあまり敬語を使わないと聞きましたが、それでは日本の敬語はいったいいつ使うんですか?」
回答:「もちろん、まだ友人というほど近くない社会的関係で使いますよ。だから、日本の場合は、韓国のような年齢の上下よりも、社会システムとしての上下関係がある時に敬語を使うと考えればいいと思います。
たとえば、学校では当然、生徒が先生に敬語を使いますが、でも先生と生徒が仲がよくなって友達のような関係になると、今度は社会システムの上下から離れて互いにタメ口になるということがあります。韓国では絶対に想像もできないことですよね。そうかと思えば、部活の先輩後輩関係になると、今度は社会システムの上下になるので、たとえ1学年上でも厳密に敬語を使います。
韓国では、たとえ社会的な店員と客の関係であっても、大人が子供に敬語を使ったりはしません。でも日本では、その店員と客の社会システム的な上下関係によって、どんな小さな子にも敬語を使うのがふつうです」
質問:「日本語の『サランヘ』は『愛してる』だといいますが、日本の友達によると、本当に好きな人にもその言葉は使わずに、ただ『好きだ』というと聞きました。じゃあ、日本人は『愛してる』という言葉をいつ使うんですか?」
回答:「『愛してる』という言葉は、日本では会話としてはほぼ使われません。『I Love You』の訳であるだけで、歴史も浅く、文化的に定着していないためです。韓国人の『サランヘ』は歴史の古い固有語であり、家族や友人、兄弟間でも使う言葉ですから、私も今、ほぼ毎日のように韓国の家族に使っていますが、もし日本で日本語だけを使っていたら、この言葉はたぶん生涯、口にしなかったでしょう」
質問:「ええええ!?だったら日本で愛情を伝える最も強い言葉は何なんですか?」
回答:「日本人はあまり『最も強い言葉で愛情を伝える』ということはしないのですが、脈絡からいえば、『大好き』です。大きな『好き』ですね。でも基本的にそういうことは露骨な言葉で表現するものではないという考えがあります」
質問:「逆に日本には、韓国のような『ヨク(相手を侮辱する言葉)』がないと聞きましたが、本当ですか?」
回答:「確かに日本には、『馬鹿』のようなふつうの悪口はあっても、韓国や米国のような、相手を下品に完全に侮辱するような『ヨク』はありません。
それは韓国の人間関係は、何でもいえるような兄弟が基本なので、相手をとことん憎んだりけなす言葉を使ったとしても、かえって『そういうこともいえる関係になった』となって、それを忘れて近くなることができるからです。
ところが、日本の場合はあくまでも社会的な友人関係が基本であるため、そんな恐るべき侮辱を口にすれば、二度と修復できないほどに人間関係が終わってしまうからです。だからそんな言葉は、たとえあっても使うことができないわけです」
昼間のふつうの学生が帰った夜の時間から勉強なんて本当に感心ですよね。
我が子と変わらない年代の学生たちだし、かわいくてしょうがなかったですね。
武藤克精
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